“人びとの結びつき”をつくる機会と場所の提供を目指して
2012年7月、政府の犯罪対策閣僚会議は、再犯防止対策を重要な政策課題に位置づけ、罪を犯した人の社会における「居場所」と「出番」づくりなどに取り組むことを公にしました。このような流れの中で、法務省と厚生労働省との連携が深まるなど、矯正・保護と福祉との協同作業が軌道に乗り、公的機関内部の連携のみならず、官民の垣根を越えて、相互の結びつきが深まりつつあります。
人と人との出会い、互いの協力が、矯正・保護の分野でいかに大事なことかを実感する時代となりました。矯正・保護総合センターが果たすべき役割は、ますます大きくなっていると思います。人材を養成し、研究を深め、成果を社会に還元し、そこからさらに刺激を受け、歩みを進める。今後も引き続き、当センターは、人びとの結びつきをつくる機会と出会いの場所の提供を目指します。
龍谷大学 矯正・保護総合センター長 福島 至
龍谷大学大学院 法務研究科 教授
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社会復帰に取り組む実務に特化したユニークな矯正・保護課程
矯正・保護課程は全国の大学でも龍谷大学独自の課程で、36年の歴史があります。受講生はのべ1万人を越え、今では年間1千人余の学生が受講しています。200人以上の卒業生が国家公務員の刑務官や法務教官として活躍しているほか、保護司や保護観察官といった更生保護に取り組む実務家を輩出しています。また、罪を償った人の社会復帰を助ける数多くのボランティアも育て、着実に教育実績をあげています。しかも、こうした人材を社会はますます必要としています。格差社会が拡大し、地域の相互扶助機能が喪失し、人と人の関係は希薄になるばかりです。そういう社会事情を背景に、犯罪や非行を考えるための正しい知識、的確な判断力などを身につけることは、実に貴重です。本課程で学ぶことは現代人の必須の知識、見識だといえるのではないでしょうか。
龍谷大学 矯正・保護課程委員会 委員長 津島 昌弘
龍谷大学 社会学部 教授