矯正・更生保護
矯正とは「誤りを直し正しくすること」、また更生とは「健全な社会生活をおくれるようにすること」です。
いずれも犯罪者や非行少年たちの立ち直りを目的とし、主として刑務所や少年院・少年鑑別所などの施設内でなされる活動を矯正といい、主として施設外でなされる指導、援助を更生保護といいます。
これらは社会の安全、健全の根幹を支える使命を担うとても重要な活動です。
社会復帰支援
罪を犯した人が罪を償い、ふたたび社会の一員として復帰するには、本人の努力だけではなかなか困難です。
プロフェッショナルによる矯正・更生保護活動とともに、地域社会の理解と保護司や様々な更生保護ボランティアと呼ばれる人たちのサポートが必要です。
こうした方々の「保護」という福祉的な役割の重要さ、誇りが、社会をより良い方向に向かわせる力になるのです。
矯正・更生保護
教育・研究の成果を社会貢献に活かす、新しいソーシャルネットワークづくりの拠点
「矯正・保護課程」は、龍谷大学の設置母体である浄土真宗本願寺派の伝統と歴史にまでさかのぼります。宗教的に「教え諭す」ことを教誨といい、教誨師とは罪を犯した人を精神的救済へと導く人です。現在でも、刑務所などの矯正施設で収容者に宗教的な徳性の育成を行う人を教誨師と称します。そういう点で、「矯正・保護課程」は龍谷大学の精神を継承する独自の教育課程ともいえます。
開設は1977年。特別研修講座の一つとして「矯正課程」を設け、刑務所や少年院・少年鑑別所などの職員を目指す実務的な教育プログラムとしてスタートしました。その後、着実な実績とともに、更生保護や犯罪被害者、子ども教育や社会福祉など現代社会のひずみのなかで生じる犯罪や非行を、より広い視野とより専門的な視点で取り組むために「矯正・保護課程」に改称しました。これらの取り組みと実績は、長年にわたって高い評価を受けつづけています。
こうした教育事業の実績を踏まえて、2002年に誕生したのが「矯正・保護研究センター」です。センターは日本で唯一の、刑事政策に特化した大学付設の研究機関で他には例がなく、矯正・更生保護への教育・研究活動は「文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業」に2度も採択されています。そして2010年4月、新たに開設したのが「矯正・保護総合センター」です。これまでの教育と研究に加え、それぞれを学際的に連携させることによって、それらの成果を「社会貢献」に活かすことを目的に総合センターは創設されたのです。
新しい総合センターが目指すのは矯正・更生保護や社会復帰支援のための、これまでにないソーシャルネットワークづくりの拠点構築です。