團藤文庫の研究、團藤重光の総合的な人物研究を行うため、2013年度以降、刑事法学・法史学などの研究者を中心にして、学際的な團藤重光研究プロジェクト(團藤プロジェクト)研究会を組織し、運営している(2023年3月末時点で研究会開催は55回を数える)。当初、團藤プロジェクトではパイロット事業として團藤文庫の利用可能性の研究に取り組み、研究会メンバーが、自らの専門・関心に応じて所蔵アーカイブを用いた先駆的研究を展開してきた。その後、研究活動は團藤日記など対象を絞り込んで、継続的に行っている。これまで、科研費助成事業「團藤文庫の利用可能性に関する研究〜日記及び立法・裁判関係資料を中心に」(16K03273)や「團藤重光日記の分析と翻刻―最高裁研究と法思想研究を軸として」(19K01255)のほか、NHKからの受託研究費など、外部資金を受けてきた。さらに、本学社会科学研究所共同研究からの助成も受けてきた。2023年度からは、新たに科研費助成事業「最高裁評議過程と團藤重光」(23K01068)と本学社会科学研究所指定研究「團藤重光の思想と最高裁審理―團藤文庫を利用して」もスタートしている。
研究成果は、まず本センターの研究年報第6号で「團藤文庫を用いた研究の可能性」と題する特集を組み公表した。なお、この特集は、「峰山事件の最高裁事件記録から」(福島至)、「瀧川事件異聞」(出口雄一)、「1940年代後半における監獄法改正作業の解明に向けて」(児玉圭司)、「團藤文庫における勝本文庫の位置付け」(村井敏邦)、「團藤日記について」(太田宗志)の計5本の論稿から構成されている。また、2020年2月には、龍谷大学社会科学研究所の研究成果として『團藤重光研究 ― 法思想・立法論、最高裁判事時代』(福島至編著・日本評論社)を刊行した。2023年2月刊行の『刑事司法記録の保存と閲覧―記録公開の歴史的・学術的・社会的意義』(石塚伸一編著・日本評論社)第3章においても、研究成果を公表している。