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Ryukoku Corrections
and Rehabilitation Center(RCRC)

矯正・保護総合センター

矯正・保護研究委員会委員長よりご挨拶

津島 昌弘 矯正・保護研究委員会委員長(社会学部・教授)

2022年度・2023年度から引き続き、矯正・保護研究委員会委員長を担当させていただくことになりました。何卒よろしくお願いいたします。

龍谷大学では、長年の特別研修講座「矯正・保護課程」の蓄積をふまえ、2001年に矯正と更生保護に関連する研究に特化した矯正・保護研究センターを設置しました。この研究センターの特色は、法学のみならず、社会学や社会福祉学、心理学など学際的な研究を行ってきたこと、さらには、研究者と実務家が共同して研究を行うなど理論と実務を架橋する役割を担ってきたことにあります。その後、2010年の名称変更に伴い、矯正・保護総合センターが矯正・保護研究センターの活動を継承することになりました。

2016年からは龍谷大学・犯罪学研究センター(文部科学省私立大学研究ブランディング事業)がスタートし、同センターとも密接に連携しながら研究を行ってきました(犯罪学研究センターの研究活動は2023年度をもって終了)。犯罪学・刑事政策に関する国際水準の研究成果を生み出すだけでなく、その成果を教育現場に還元するとともに、裁判員時代の市民教育の在り方や現実の政策立案についても積極的に提言を行ってきました。さらに、海外での研究活動や海外研究員の受け入れなど、国際的な学術交流にも意欲的に取り組んできました。

ところが、2019年度末に発生した新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの活動が自粛または中止を余儀なくされてきました。矯正・保護総合センターの研究プロジェクトも例外ではありませんでした。その後、同ウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月に5類に変更され、行動制限が大きく緩和されるにあたって、我々の研究活動も再開し、感染拡大以前の水準に戻りつつあります。

世界を見れば、日本をふくむ多くの先進諸国において、犯罪はほぼ一貫して減少しています。しかし、日本国内では、高齢者を標的にした国際的な特殊詐欺など新たな手口の犯罪が増えています。その一方で、ジャニーズ事件に代表される「権力の非対称性」(上下関係や力関係)に起因する性暴力が社会的な問題として注目されています(BBCに指摘されるまでなぜ国内では看過されてきたのか、という日本社会の構造的な問題と対峙する学問的問いも提起されます)。このように、複雑化する「新たな犯罪」は、国内の個別分野研究の取り組みだけでは、その解明と解決はきわめて困難であります。

我々は、矯正・保護総合センターがこれまでに築き上げた国内外の学際的知的ネットワークを生かし、現代社会における犯罪の原因解明と予防、犯罪者処遇と再犯防止に関する、斬新かつ大胆な研究活動に果敢にチャレンジしていきます。

引き続き、皆様にはご理解ならびにご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。