矯正・保護に関連する諸法制とその実務への影響を検討し、具体的な政策提案を行う。
矯正施設での生活(労働、文化、教育、医療、政治、宗教、福祉等)を従来からの施設完結主義を脱し、市民社会における一般的な法と制度によって構築する可能性についての検討を行う。
社会奉仕命令や集中保護観察などを検討し、規範的、比較法的、実証的な再犯防止のため立法案を策定する。
法改正後の処遇現場での実務の変化と運用上の課題を検討するとともに、改正法のコンメンタール作成を行う。
犯罪者・非行少年の処遇ないし刑事政策立案の基礎となる刑罰理論・理念の現代的変容を、比較法的観点も踏まえて総合的に検討する。
本プロジェクトでは、自身の所属する国家や社会で犯罪とされないような行為が、異なる国家、社会で犯罪と評価された場合、刑法はいかに対処すべきかという問いの検討を通じて、犯罪とは何か、刑罰とは何かについて明らかにすることを目的とする。
「ヘイトクライム研究」プログラムでは、量的調査の結果に即して、法的ならび社会的解決モデルを提示する。①ヘイト・スピーチ(街頭でのいわゆる街宣活動やデモそしてインターネット上で一定の属性によって特徴づけられる集団に対して攻撃的な態様で脅迫的又は侮辱的な表現をする行為)とは、そもそも何なのか。なぜ、ヘイト・スピーチという言葉を用いる必要性があるのか、現行法の名誉毀損や侮辱と何が違うのか、②個人的名誉の毀損とは異なる、ヘイト・スピーチの「害悪」とは何か、害悪から発生する「被害」とは何か、③害悪と被害実態に対応した法的措置及び社会的措置とはどのようなものか。
科学的な犯罪指標(統計)としての犯罪被害調査の開発を行うとともに、刑罰や犯罪者処遇に関する国民の意識とその形成過程を分析する。
少子高齢化の中で高齢犯罪者の増加とその原因を分析するとともに、高齢犯罪者の社会復帰の現状や諸外国における対策を調査することで、効果的な高齢犯罪者の処遇を検討する。
減少し続ける少年非行とその原因を探り、さらには非行のようにActing Outしない形態での少年が抱える生きづらさを分析するなどして、問題を抱えた少年たちの実像を踏まえた上で、イタリアなど諸外国の実践を検討しながら、今後の少年司法や非行少年処遇のあるべきすがたについて検討する。
本学の同窓生で組織する校友会職域支部矯正施設支部「ぎんなん会」と矯正教化支部「桐友会」の協力を得て、矯正施設や更生保護施設における実務的研究を行う。
被収容者や施設職員、外部ボランティア等が、どのような意識をもって宗教的活動に臨んでいるか、比較法的研究や実態調査等によって検討する。
本学では、これまで團藤博士が所蔵してこられた資料を譲り受け、「團藤文庫」として、保存管理に着手した。このプロジェクトは、團藤博士の岡山時代から東大学生・教官時代、最高裁判事時代、宮内庁参与時代、そして晩年に至るまで、収集、集積されてきた所蔵資料の本格的な調査研究プロジェクトとして、法学をはじめとして様々な学問領域(歴史学、社会学、政治学など)を専攻する方々の調査研究に資するため、所蔵資料目録の完成とその公開を目指している。
「團藤プロジェクト」の詳細についてはこちらの専用ページをご覧ください
刑事弁護の現状と課題を明らかにするために、実務家や研究者、司法修習生、大学院生等を対象として、リーディング・ケースとなるような具体的な事件を素材として研究会を開催する。また、若手弁護士を対象とした刑事弁護初任者向けの研修カリキュラムに基づいた研修会や、刑事政策、犯罪学、司法福祉などの基礎的・実践的知識を習得するための研修会を開催する。そして、DNA型鑑定を利用した冤罪救済運動「イノセンス・プロジェクト」に関する研修会を開催し、「日本版イノセンス・プロジェクト」を支援する。
DNAによる個人識別、蛍光X線分析の物質同定、心理学による供述分析等の最新技術や知見を実務家や研究者と共有できるように、法科学に関する研究会を開催する。
ドラッグ・コート導入の可能性のほか、日本における薬物依存者の社会復帰に必要な受け皿と具体的な処遇プログラムを検討する。また、物質依存に関する調査研究を実施し、その成果を国内外の学会で発表するとともに、薬物依存回復支援者養成セミナー「薬物依存症回復支援(Drug Addicts Recovery Supports:DARS)」を開催する。
中高生や大学生、一般市民等を対象に刑罰の執行と社会内処遇に関する教育機会や、裁判員制度など司法に関する知識理解の促進を目的としたセミナー・シンポジウムの開催、小中高生向けカリキュラムや教育教材開発の調査研究を実施する。また、法情報に関する理論的・実践的研究を行う。その成果は、専門書・啓蒙書を出版するとともに、ウェブで情報や映像を提供することによって、積極的に公表していく。
これから犯罪学を本格的に研究しようと思っている関連分野の研究者、実務家、大学院生などを対象とし、犯罪に対する法学・社会学・心理学等について、理論や研究方法を学べる研修会を開催する。
本学は、建学の精神を具現化する重要な活動の一環として、犯罪や非行をおかした人たちの社会復帰を支援する矯正・保護事業を展開してきた。本プロジェクトでは、その実績を踏まえつつ、犯罪予防と対人支援の視点から、犯罪をめぐる多様な「知」を融合する新たな犯罪学を体系化するとともに、これを基礎に犯罪現象をめぐる政策群を科学的に再編し、時代の要請に応えることのできる担い手を育成する教学システムの将来を展望する。研究活動としては、司法心理学・治療法学・矯正宗教学のユニットからなる「犯罪と人間」、犯罪社会学・司法福祉・法教育・法情報のユニットからなる「犯罪と社会」、及び政策評価・意識調査・科学鑑定のユニットからなる「犯罪と科学」の3つの分野において調査研究を展開する。また、これらの研究を推進するにあたっては、本学犯罪学研究センターと連携を図っていく。